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Photron社(フォトロン社)

フォトロン社は、1968年〔昭和43年)7月10日に設立された会社で、画像領域に特化した会社です。

会社名は、光子の"photon"、電子の"electron" に由来しています。

フォトロン社は、設立以来一貫して”我々だけにしか出来ない画像〔処理)を独創的で先進的な新技術を使って実現し、顧客の業務の効率化に貢献しています”。

当社は、「偏光高速度イメージング装置CRYSTA」のみ、取り扱っています。

フォトロン社 の工場
  

偏光高速度イメージング装置(CRYSTA)

CRYSTA PI-1P CRYSTA PI-5WP
CRYSTA PI-1P

超高速/R&D向けの
偏光イメージング装置
CRYSTA PI-5WP

小型/OEM向けの
偏光画像処理システム

CRYSTAは偏光に感度をもつ初の高速度カメラとして研究開発され、5年以上かけて完成に至りました。

バイオ、ミリタリー、航空宇宙など様々な分野において物理量や物性の測定、および可視化を実現します。

透明材料の「内部応力」と「配向構造」を可視化できる世界最高速の偏光高速度カメラです。

偏光について

偏光は様々な物理量や物性の測定、及び可視化が可能

偏光は「振動方向が規則的な光」であり、目視では認識できない光の状態です。

光の偏光状態は透過した物体の内部構造や反射した物体の表面形状などによって変わるため、対象物への入射・出射前後の偏光状態を求めることで、様々な物理量の測定や現象の可視化へ応用できることが知られています。

さらに、この「偏光」に「高速度イメージング」の技術が合わさることで、例えば、透明材料の加工時に工具へ加わる負荷を画像から検討したり、衝撃試験や流動現象における応力の伝播・緩和過程を可視化する、配向膜の空間的な性能の均一性を非接触で定量的に計測する、など従来では想像もできなかったような新しい画像計測が可能となります。

偏光高速度カメラの機能

  • 材料加工時の内部応力分布、可視化と加工条件の解説
  • 衝撃破壊・割れにおけるクラック周辺部の応力伝搬の評価
  • 液晶・結晶材料に対する結晶軸・配向状態の動的観測
  • 粘弾性体・ソフトマターで生ずる流動性応力分布の可視化

独自のコア技術「偏光高速度イメージセンサ」

画素毎に方位の異なるフォトニック結晶型マイクロ偏光素子アレイを実装したイメージセンサであり、(株)フォトロンと(株)フォトニックラティスによる共同開発によって完成しました。これまで偏光計測に不可欠であった偏光板の回転動作を不要にし、1度の露光で偏光計測に必要な光強度情報を取得できる特徴を有します。さらに、独自の画素並列読み出し回路と偏光素子を直結させることで繰り返しサンプリング速度を従来比1000倍以上に向上させた、全く新しいイメージセンサです。

イメージセンサ
偏光高速度
イメージセンサ
構造図
隣接4画像
のSEM写真

製品仕様

外観 crysta-pi-p1 crysta-pi-5wp
システムの特徴 超高速偏光イメージング PCメモリへのリアルタイム
転送 及びSDK付属
撮像素子 偏光高速イメージングセンサ
偏光素子 直線偏光素子 位相子+直線偏光子
偏光動作波長域(nn) 520〜570
画素階調(bit) 12
最高有効画素数
(白黒撮影時)
1024 × 1024 848 × 680
最高有効画素数
偏光撮影時*1
512 × 512 424 × 340
最高有効画素数
撮影速度〔コマ/秒)
60〜7000 15〜250
最高撮影速度
〔コマ/秒)
1,550,000 10,000
最短露光時間(nsec) 369 2,893
レンズマウント GタイプFマウント/
Cマウント
Cマウント
PC接続・
制御インターフェイス
1000BASE-T PCI Expres
保存データ形式 RAW,AVI,BMP,CSV,その他*2
AC電源電圧(V) 100V(200V希望は別途相談)
AC電源周波数(hz) 50〜60
AC消費電力(VA) 130 600〔制御PCを含む)
DC電源電圧(V) 20〜36 12
DC消費電力(VA) 130 20
標準メモリサイズ(GB) 32,64 32
記録時間〔秒) 2.98(7500コマ/秒時) 11.46(250コマ/秒時)
カメラ(ヘッド)外形寸法(mm) カメラ:153×165×243(WHD) カメラヘッド:74.4×74.5×62.35(WHD)
カメラ(ヘッド)重量(kg) カメラ:7.4 カメラヘッド:0.48
カメラヘッド
ケーブル(m)
  5, 15
トリガ方式 TTL、接点、ソフトウェアトリガに対応

*1:フォトロン製ソフトウェアで偏光解析を実施する場合の解像度です。

*2:保存データ形式は使用するソフトウェアで異なります。

  

導入事例

高速加工現象の応力分布を可視化

長岡技術大学 工学部 精密加工・機構研究室 磯部浩巳先生

準静的な二次元切削加工現象は、古くから理論的・解説的及び実験的に検証が行われている。

しかし、実際の加工は動的に変化し、特にガラス加工時におけるクラックの発生は瞬間的な現象である。

このような加工状態を測定する方法としては、工具動力計が一般的に用いられる。これは刃物台や被削材固定台と工作機械の間に設置し加工抵抗を測定するものであるが、個々の切れ刃や砥粒が、どのように応力を発生させ、被削材を加工しているか判らない。特に、ダイヤモンド電着砥石を用いたガラス加工に於ける加工条件の最適化は、試行錯誤によるところが多い。その理由は、工具動力計の計測では、いつ、どの砥粒が、どのように欠損を生じさせたのかわからなく、発生する現象も偶発的であるためである。

これに対して、CRYSTAを用いた応力測定手法では、工具表面に多数ある砥粒の中から、どの砥粒がどのように加工しているかをオンマシンで計測することが出来た。さらに、CRYSTAの持つ優れたトリガ入出力機能を駆使することにより、超音波帯域に於ける加工現象の同期撮影にも成功した。

 高速加工現象の応力分布を可視化

ガラスの亀裂進展過程の評価

千葉大学大学院 光学研究院 加工物理学研究室 森田登先生 比田井洋史先生 松阪壮太先生

電子機器等に使用されるガラス基板は割断法によって所望の形状に分割されることが多く、機器の小型化・薄型化にともなって、破断面の品質向上が強く求められている。割断されたガラスの波面形態は、形成される亀裂の進展挙動に依存し、亀裂進展挙動は、ガラスの内部応力場によって決定される。

従って、偏光計測法によって亀裂進展時のガラス内部応力場を把握することが出来れば、割断面の品質を推定することが可能となる。

CRYSTAは高い時間分解能で複屈折位相差を計測できることから、割断の際のガラス内部応力場の可視化手法として非常に有効である。我々は、亀裂進展挙動によって位相差変動の特徴が異なることに着目し、亀裂形成直後にリアルタイムで破談面形態を推定する手法を提案してきた。

CRYSTAの高い時間分解能を活用すれば、破談面不良を即座に把握することが可能となるため、ガラス基板の製造・加工過程に於ける歩留まり向上に貢献できるものと考えられる。

ガラスの亀裂進展過程の評価

塗布膜全体の配向過程を評価

長岡技術科学大学 工学部 流体工学研究室 高橋勉先生

複屈折と配向角が同時に、かつ、高速度で二次元画像として求められる。そんな夢のような装置が実在するなら、トライしてみたい研究課題が山ほど会った。

例えば高分子流体の二次元流れ場に対する流動複屈折観察法は、数十年前に開発された技術であるが、クロスニコル偏光板による位相差πの整数倍の明暗を縞模様として測定するため極めて強い複屈折を示す流体と光路長の長い流路が必要だった。

CRYSTAが研究室にやってきて、マイクロチャンネル内の粘弾性流体の流動複屈折分布がいとも簡単に計測できてしまった。

マイクロPIVと組み合わせれば速度場と応力場の同時計測が可能となる。夢のようだ。

写真の計測装置は液晶性色素の塗布・乾燥過程の複屈折分布を可視化するために製作したものである。

ガラス基板上に1〜5ミクロンの厚さで塗布された試料は分子配向状態の液膜となる。乾燥過程に於ける配向状態の変化を複屈折分析から観察した。

従来の点計測による複屈折では知ることが出来なかったテクスチャ形成や乾燥線進行に伴う複屈折の変化を見いだし、複雑流体の薄膜乾燥に関して、新たな視点を得ることが出来た。

トライしてみたい課題はまだまだある。CRYSTAのおかげで寝不足が続く。

塗布膜全体の配向過程を評価

流体の内部構造変化を観察

新潟大学 研究推進機構超域学術院 佐藤大祐先生

プラスチック融液を代表とする高分子流体は、流動によって高分子の姿勢(配向)が大きく変化し、成形品の品質は、高分子の配向状態に強い影響を受ける。流動で生じる高分子の配向メカニズムを知ることは非常に重要であり、そのために流動複屈折測定は有力な測定手段だとして用いられてきた。

しかしながら、リアルタイム計測でかつ面計測(2次元計測)によって複屈折と配向情報を取得することは技術的に極めて困難であった。

写真はマイクロ流路における実験風景とCRYSTAによって得られた流動複屈折場を示している。光学測定といえば何やら沢山の光学素子が並び、並び順はこれで、光学軸はあれで、と言った呪文が飛び交うことが多くある。

しかし、CRYSTAの場合は、光源とCRYSTAの間にサンプルを置くだけ(!)で測定が出来、さらに、複屈折分布から応力場を評価することも可能である。CRYSTAは上述した技術的課題を解決しただけでなく、複屈折測定の敷居をも下げた画期的な装置といえる。

流体の内部構造変化を観察