cedrat社(セドラ社)
CEDRAT TECHNOLOGIES (CTEC/セドラ) は、1989年に設立され、フランスのグルノーブルに本社を置く高度なメカトロニクス技術の専門企業です。
宇宙、オプトロニクス、計測機器などの要求の厳しい用途向けの精密メカトロニクス製品の設計、製造、テストに特化しています。同社は、30年以上の経験を持つ有能なR&Dチームを有し、革新的で高性能のアクチュエーター、センサー、機構、および関連電子機器を開発し、毎年数千の特定の製品を世界中に提供しています。
特に航空宇宙分野においては、人工衛星や宇宙望遠鏡向けの高性能な機構部品の開発に注力しており、高速ステアリングミラー(FSM)の分野では、ピエゾ電気式と磁気式の両方のFSMを提供しています。セドラ社のFSMは、圧電および磁気アクチュエーション技術の専門知識を活用して、高度な光学ポインティングおよびビームステアリング機能を可能にする、コンパクトでダイナミックかつ高精度の製品として知られています。
セドラ社の強みは、アクチュエータ技術における深い専門知識と、厳しい品質基準に対応した製造能力にあります。同社は、ECSS、MIL-STD、ANSI/IPC3など、宇宙・防衛分野の厳格な信頼性基準に沿って、数百個単位のアクチュエータやメカニズムを製造できる体制を整えています。
クロニクスではセドラ社の航空宇宙向け分野の製品の販売を行っております。
磁気アクチュエータ
セドラ社は、15年以上にわたり、高い要求レベルのアプリケーション向けのマグネティックアクチュエータの設計、最適化、製造を行ってきました。例えば、CTECは宇宙用に認定されたMoving Coil Controllable Actuators (MCCA、Voice Coil Actuatorsとも呼ばれる)を提供しています。
磁気アクチュエータは、高い力と大きなストロークを実現しつつ、高分解能の変位、コンパクトな設計、動的性能を維持できるため、ピエゾベースのアクチュエータを補完するのに適しています。
磁気アクチュエータは、磁気効果を利用して力を生成し、アクチュエータ内の部品の動きに影響を与えます。これらは以下の大きなカテゴリに分類されます。
磁気力を利用したアクチュエータ
これには、距離に作用する磁気力、ローレンツ力、リアクタンス力が含まれます。線形タイプは1mmから20mmのストロークを提供し、ピエゾアクチュエータを補完します。以下の3つのサブカテゴリがあります
ムービングコイルアクチュエータ:静的磁場に置かれた移動コイルが電流によって駆動され、ローレンツ力を受けます。この力は適用された電流に比例し、制御可能です。最初の応用はラウドスピーカーでしたので、ボイスコイルとも呼ばれます。セドラ社は自動車、産業、宇宙のさまざまなアプリケーション向けに高性能なボイスコイル(ムービングコイル)およびLATリミテッドアングルトルクアクチュエータを開発しました。
ムービングマグネットアクチュエータ:2つの磁極の間に置かれた移動永久磁石がコイルを使用して一方の極から他方の極に切り替わることができます。これらのアクチュエータは二安定性を持ち、高い力を発揮しますが、制御性はそれほど高くありません。
ムービングアイロンアクチュエータ:コイルシステム内に置かれた軟磁性部品が、システムの磁気エネルギーを最小化する方向に自然に動きます。標準的な電磁石では、このリアクタンス力はローレンツ力よりも大きいですが、引力のみで制御不能です。セドラ社が開発したMICA™Moving Iron Controllable Magnetic Actuatorはは、革新的なバイアス(極性)電磁アクチュエータであり、ストローク全体で力を反転させることができます。振動生成や埋め込みアプリケーションでのアクティブダンピングに使用され、ピエゾアクチュエータよりも大きなストロークを提供し、ムービングコイルアクチュエータよりもはるかに少ない発熱を特徴とします。
磁気制御アクティブ材料を利用したアクチュエータ
マグネトストリクティブアクチュエータ:これは、磁気効果を受けたときに磁気ストリクティブ材料が変形する現象を利用します。
マグネットレオロジーフルードアクチュエータ:マグネットレオロジーフルード(MRF)は、磁場を受けると固化します。この効果を利用して、さまざまなMRFベースのアクチュエータ(バルブ、クラッチ、半アクティブダンパー、スマートハイドロスタティック/ハイドロダイナミックベアリングなど)を設計できます。
第3カテゴリ:電動機
セドラ社は小型電動機、例えばブラシレスDCモーター(BLDC)やステッピングモーターのみとなりますが、このカテゴリーの製品の開発も行っております。
製品
磁気高速ステアリングミラー(M-FSM62)
M-FSM62は、ピエゾ圧電式アクチュエーターの代替として開発された高速ステアリングミラー(FSM)です。このM-FSMの機構は、ミラー、アクチュエータ、ガイド、および渦電流位置センサー(ECS)を含むコンパクトな設計が特徴です。
アプリケーション:フリースペース光通信、レーザーガイドスター、レーザーデジグネーター
BRUCE - 電磁作動式ピンプーラー
フランス国立宇宙研究センター(CNES)の依頼により、セドラ社はBRUCE(Broche Rétractable Utilisant une Commande Electromagnétique)というリセット可能な電磁作動ピンプラーを設計しました。
アプリケーション:宇宙用途、ピンプラー
ボイスコイルアクチュエーター
ムービングコイルアクチュエータは、適用される電流に正比例するローレンツ力に基づいています。これは最も一般的な線形磁気制御アクチュエータであり、セドラ社は宇宙アプリケーション向けにいくつかのボイスコイルを開発しています。
アプリケーション:高線形性アクチュエーター、航空宇宙分野
角度制限付きトルクアクチュエータ(LAT)
Limited Angle Torque (LAT) アクチュエータは、±15°の回転運動を提供します。この原理とエラスティックガイディングにより、滑らかで高解像度の回転運動を実現し、航空・宇宙および光学アプリケーション向けの精密なポイントアセンブリに適しています。
アプリケーション:高解像度の回転運動、マイクロナノポジショニング、ポインティング、スキャニング
アップグレードされたブラシレス DC モーター
セドラ社はは、市販のBLDC(Brushless DC)モーターをFLUX FEM再設計、部品交換、およびベンチテストを通じてトルクと速度を向上させ、電力消費を削減するアップグレードを行います。
アプリケーション:要求の厳しいアプリケーション向けのBLDCマイクロモーター、航空・宇宙、UAV(無人航空機)
ピエゾ圧電アクチュエーター
セドラ社はピエゾ圧電アクチュエーターの分野で10年以上の実績を持っております。同社の標準的な圧電アクチュエーター(PPAおよびAPA®)は、高性能な多層圧電セラミックスを使用しており、宇宙関係の活動において、その性能と信頼性が広く認められています。
セドラ社の開発した圧電アクチュエーターには以下のような優れた特性を持っています。
コンパクトなサイズで高い力と大きな変位を実現
ナノメートル範囲の高分解能
1ミリ秒以下の短い応答時間
10¹⁰サイクルを超える寿命
150V DC以下の低電圧供給
アイドリング時の低消費電力
真空、極低温、高温といった過酷な環境への対応が可能
ピエゾアクチュエーターのメカニズム
圧電アクチュエーターの基本原理は、圧電効果に基づいています。圧電効果には、機械的圧力を加えることで電荷を生成する直接圧電効果と、電場を加えることで圧電材料が変形する逆圧電効果があります。
セドラ社の圧電アクチュエーターは、逆圧電効果を主に利用して高精度な制御と迅速な変位を実現しています。セドラ社の圧電機構は、一つまたは複数の圧電アクチュエーターとガイド機構を組み合わせることで、高精度な動作を可能としております。
セドラ社の圧電アクチュエーターを利用した製品には以下のようなものがあります。
パラレルプレストレスアクチュエータ(PPA)
増幅型圧電アクチュエータ(APA®)
圧電ステージ
高速ステアリングミラー
高速圧電シャッター
圧電アクチュエーター製品
増幅型圧電アクチュエーター:APA120ML-PP
APA120ML-PPは、増幅型圧電アクチュエーターで、並行プレストレス(PPオプション)により振動耐性が2倍に向上しています。この技術はフランス宇宙機関(CNES)と共同で、衛星に搭載される望遠鏡向けに開発されました。
アプリケーション:宇宙・航空、工学、再フォーカス機構、発射時の振動耐性の向上
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回転圧電モーター:RPMHPP
RPMHPPは、宇宙望遠鏡向けに開発された準静的ステッピング回転圧電モーターで、高い角度分解能と広い温度範囲を特徴としています。
アプリケーション:宇宙・航空、高精度角度位置決め、望遠鏡
リニア圧電モーター:LPM20-3
LPM20-3は、CNESの支援を受けて宇宙アプリケーション向けに開発された超音波リニア圧電モーターで、高い力(20-50N)と速度(20mm/s)を提供し、非常に低い電力消費(12W)を実現しています。
アプリケーション:宇宙・航空、再フォーカス、高精度位置決め
MINI P-FSM35XS
このミニFSMは、6ミリラジアンのストロークと1700Hzの共振周波数を持ち、質量は50gです。ナノ衛星やキューブ衛星のプロジェクトに適しております。
アプリケーション:宇宙・航空、3Uキューブサット、ナノ衛星
高速ステアリングミラー(FSM)
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高速ステアリングミラー(FSM)は、光学システム内でミラーを迅速かつ正確に動かすためのデバイスです。セドラ社のステアリングミラーは以下の要素で構成されています。
ステアリングプラットフォーム:ミラーを支え、動かすための基盤です。CTECのFSMは、ティルト(1軸)またはチップ/ティルト(2軸)のプラットフォームを提供しており、高精度な角度調整が可能です。
アクチュエーター:ミラーを動かすための駆動機構です。セドラのFSMは以下の2種類のアクチュエーターがございます。
ピエゾアクチュエータ:高い応答速度と精度を持ち、小型でありながら強力な駆動力を発揮します。
磁気アクチュエータ:強力な駆動力を持ち、耐久性に優れ、信頼性の高い動作を実現します。
位置センサー:ミラーの位置を正確に検出するための装置です。セドラのFSMは以下のセンサーを使用しています。
ストレインゲージセンサー(SG):高精度な位置検出が可能で、温度変動に対する耐性があります。
渦電流センサー(ECS):非接触での位置検出が可能で、高速応答が求められるアプリケーションに適しています。
コントローラー:アクチュエーターを制御し、ミラーの正確な位置決めを行う装置です。
ピエゾコントローラー:ピエゾアクチュエーターの高速応答を最大限に引き出す制御を行います。
磁気コントローラー:磁気アクチュエータの強力な駆動力を効率的に制御し、信頼性の高い動作を保証します。
カスタムオプション:セドラ社は顧客の特定のニーズに応じて、高速ステアリングミラーのカスタイマイズも行っています。これには、シリコンカーバイド(SiC)やフューズ度シリカ(SiO2)などの素材を用いたミラーの設計が含まれます。さらに、特定のアプリケーションに最適化されたミラーの設計と統合も提供しています。
アプリケーション
セドラの高速ステアリングミラーは宇宙分野では以下のように使われることがございます。
低軌道(LEO)での衛星間通信を可能にします。FSMはレーザービームの精密な方向調整を行い、安定した通信リンクを維持します。
ディープスペース探査機との間でのデータ通信を行います。FSMは高精度なビーム制御により、遠距離間での通信品質を確保します。
静止軌道衛星と地上局間の通信を支援します。FSMはレーザービームの正確な追尾と制御を行い、信頼性の高い通信リンクを構築します。
衛星や宇宙船の観測機器において、広範囲の四やをカバーするためのスキャンニングを行います。FSMは迅速かつ正確なミラーの動きで、観測対象を効果的に追尾します。
宇宙望遠鏡において、光学系の歪みを補正し、鮮明な画像を取得します。FSMは、リアルタイムでミラーの形状を調整し、観測性能を最適化します。
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